ベレンの港はマナウスと違って檻のようにぐるりと囲まれており、外は一目でわかるスラム街で歩けなかった。
そういえばお父さん一家はバスに乗る様だったけど、もうすでにそんな体力もないのでタクシーに乗る。つか、いまだにバスには乗っておらずタクシーばかりだ。
船客狙いのタクシーが何台もいるのだけど、目的地を言うとソッポを向かれてしまう。思ったよりも距離があるのか提示してくる値段も高く感じる。当然値切ってはいるのだけど安くはならない。一人だけ乗せてくれる人がいたけど結局いい値になってしまた。まあ、半値ににしてくれと言う僕も僕だが。
15分程で宿泊を考えていたホテルに着いたのだけど、やっぱちょっとタクシー代高い気がする。
この場所は幾つものホテルがあり間違って違うホテルに入ってしまった。とりあえず値段だけでも聞いてみいると安い。これまではエアコン付きの部屋にしていたのだけどここは扇風機のみで、トイレ・シャワーが共同だけど台所が使える。今日は体調がおかしいのでここに泊まる事にした。
とりあえず何か食べようと外にでたのだけど、日曜日なので開いているところがない。しかたなくホテルにもどりシャワーを浴びて、ついでにT-シャツとパンツを洗った。
部屋に戻ると体が熱く ボー っとしてしまう。しばらく扇風機にあたっていいると徐々に体が冷めてきて体調が幾分かよくなってきた。
宿泊を決めた時に情報ノートなるものを貸してくれて、これはこの街に来た旅人が後から来る人の為にガイドブックには載っていないような細かな情報を書き記しているもので、これはその日本人バージョンだ。ゆっくり目を通すとさすがの生情報で、古いものも多いけど、知りたかった事も書かれている。
この宿はいわゆるホテルではなくバックパッカー御用達な旅宿なので宿泊費が安くて、受付の人もそういった対応をしてくれるのでありがたい。それにこれまでで予算オーバーした分を幾らか取り戻せるのもウレシイ。
今日は久しぶりのベットだ。ハンモックもいいのだけど、やっぱり横になりたい。これまでも凹んでいるベットの時は床で寝たりもしたけど、長い目で考えるとちゃんとシーツがあった方がいいや。
朝起きると夜ご飯を食べていないのでモーレツにお腹が空いている。この宿は安い分朝食が付いていないので外に食べに行った。ここからそう遠くないところに市場があるようなのでそこに行ってみることに。
宿でもらったベレンマップを見ながら歩いているのだけど一向にみつからない。おっかしな~と思い反対方向に行くけどやっぱりない。ムムムともう一度戻ってみる。お腹が空き過ぎてせっかちになってしまいあっちにウロウロこっちにウロウロ。結局見つからずに近くでスナックとコーラを買った。エンプティフードとはいえ何か胃に入ると少し落ち着く。それにコーラはこういう時に結構良い。一番はポカリで二番がコーラかファンタかな。
一旦部屋に戻り地図を見ると最初に向かった方向でよかったようだ。うし、もう一回行ってみるか。
受付のお姉さんと少し話し、まあカワイイ人だったので話したかっただけなんだけど、とにかくもう一度市場を目指す。
途中にあるデパートや銀行、小さなバーなどの位置関係も覚えておく。最初違う道で行ったのだけど、この辺りはとてもひらけていて自分的には池袋みたいだと思った。
先程と違いあっさりと着いた市場は、何の事はない後200メートルも行かないで着いていたのだ。
ゆっくりと中を歩いて行くと、果物・食事処・衣類・怪しげな物など色々ある。
先日までいたマナウスと違うのは、こちらの市場の方がキレイというとこだろうか。軽く一周して食事を取ることにした。船旅の中継港で会った二人連れの日本人に聞いたものとおぼしき食べ物がよく目に付き 曰く 「ウマイとかマズイとかそういう事じゃない」らしく、「話題として食べたらいい」らしい。見た目はそのまんまゲリ便だ。とりたてて変な匂いはしてこないが、これはちょっと食欲がおきない。。
僕にはアマゾンといえば揚げ魚というイメージがあり、事実とにかく揚げるのだ。なのでおいしいと聞く揚げ魚に万が一でもあのビチャビチャしたウンコみたいのをかけられてはたまらないので、それが置いていないお店を慎重に探してそこに入った。
カウンターの上には色々なおかずが置いてあり、米・パスタ・揚げ魚・ポテトサラダみたいなのを注文した。ずっと気になっていた揚げ魚は旨味が濃く、パリパリの皮もコラーゲン質なトロミもいい感じで、なるほど納得の味で、しっかりした内容の食事の割には5レアルと値段も手頃だった。
短パンを買いたかったので衣類エリアにも行ってみた。化繊の薄手で裏地にメッシュの入ったものを探しているとすぐに見つかったんだけど30レアルとかなり高い。
「コレはナイキだよ!!」っておじさんが売り込んでくるんだけど限りなくアヤシイ。ふっかけてきてるのは分かるのだけど、小手調べとばかりに20レアルにしてと言ってみるとダメと答えるので、聞こえないふりをして15レアル渡した。25レアルくれと言うんだけど15じゃなきゃ買わないと返事をする。おしもんとうの末20レアルまで下がったんだけど相変わらず15じゃなきゃ買わないといい、無理ならお金を返してくれと言う。根負けしたおじさんが 19だと言ったので、「ノン」 と答える。「じゃあもう18でいいだろ!?」って感じで言ってきたのでもう下がらないなと思いつつも、「オッケー17ね」と言って+2レアル渡した。おじさんはため息をつきながら17レアルで売ってくれた。
これでもまだまだ高いのは分かっていたのだけど、最初に渡したのが15レアルだったのでしょうがない。
その後食品エリアでさくらんぼがあったのでこれも買った。宿に戻ってさっそく食べてみたら違うものの様で、ちょっと桃系の手触りで、甘みがほとんどない代わりに、酸味がものすごかった。でも体には良さそうだったのでそのまま食べた。
ベレンに着いたら行こうと思っていた場所があった。アマゾン流域エリアの日系人の総本山とも言われている、汎アマゾニア日伯協会だ。この中にアマゾン・トラベル・サービスというところがあり、ガイドブックの『歩き方』にも出ていてる。地図によると僕の泊まっている宿からおよそ2~3km位のようだ。その距離ならば歩いてもよさそうなので、午後になってから出かける事にした。
大通りをひたすら真っ直ぐ30分以上かけて行ったのだけど3時にならないと所長さんが戻らないとのことなので、丁度近くにあるエミリオ・ゴエルジ博物館に行ってみることにした。ここは動物園・植物園・博物館・図書館・研究所が一まとめになったところで、世界的に有名なところだ。やはりガイドブックにも出ていて、宿の情報ノートにも面白いとの話が綴られていた。入り口を見つけたのだかけど閉まっている。もうすこし探してみると今日はお休みだった。ついてないなぁ。それならばと買い出しに使おうと思っていたスーパーを探し水だけ買っておく。手持ちのお金も少なくなってきたので銀行にも立ち寄るけど、何故かおろせない。他の人はおろせてるのに。しかたなく他の銀行に行くのだけど、ここ数日は喋れないながらもブラジル・ポルトガル語ばかりだったので、英語で案内が出てくるので読みにくい。まあ英語も全くダメなんですが。それでもなんとなくやっていると今度はお金がおろせたのでよかった~ チキンハートな僕はお金がなくなると心細くなってしまうのだ。そんなこんなしている内に、宿のすぐそばまで戻ってきてしまった。
毎日歩いてばかりなのですぐに靴ズレができていたのだけど、せっかく治ってきたところがまた二ヶ所悪化してしまったので、これはもう自分のサンダルは足に合っていないのだと新しいものを買うことにした。今度はちゃんとジャストサイズのものを買った。
いくぶんかマシになったので、汎アマゾニア日伯協会のアマゾン・トラベルサービスに向かい、今度は所長さんと会うことができた。そこで自分が今している事を話し、聞きたかった事を尋ねると、思っていたような答えが返ってきた。今回僕は無謀にもブラジル・アマゾンについてろくに勉強してこなかったのだけど、それはもちろんワザとだ。釣りをしに来ているのだけど、一番の目的はそこではないからだ。こちらにきてから会う人にはことごとく無茶だと言われてきたけど、僕には僕の考えがあり、こうなることは分かっていても避けられなかったのだ。だから覚えてきた言葉といえば、数字以外ではあいさつと数個の単語だけだ。
詳しくは書けないのだけど日本にいた時の僕はかなりピンチで、ここ数年での出来事はとても大変だったのだ。そんな中でも解決策は残されていて、だからそれを思うと「まだまだここから、これからできることはいっぱいある。」と、不安が自信に変わってくる。そして所長さんにお礼を言って、新たな気持ちで歩き始めた。
お腹が空いてきたので宿に戻る途中でご飯を食べる事にした。この道を往復している時に気になったものがあったのだ。それは名をTACACAと言う。
注文すると丸い大きなお椀に黄色のスープを入れてから、ドロドロの透明の文房具のノリみたいなのを入れる。さらに何かの漬物的なはっぱ(葉っぱ?)を入れてエビをいくつか落とし、仕上げにもういちど黄色のスープを入れる。お椀とフォークぽいヘラを渡される。
まずはっぱをヘラに引っ掛けて口に運ぶ びっくり なんと言うすっぱいともカライともしょっぱいとも言えない味わい!!でもコレだけは言える、決してウマくない!!たった一口で大ダメージ。大きなお椀にたっぷりと入っているソレはもはや拷問。コレ何かのバツゲームっすか?って頭にうかび思わずニヤける。
水でムリヤリ流しこむと水の味までヘンに感じる!逃げる事もできんのか、、、、 そう思いつつもエビだけは食べてしまう自分がうらめしい。残ったのはドロドロとはっぱと黄色のスープ。まさにエビ以外はマズくて食えねえよ!!って見た目だが、事実だからしょうがない。せめてはっぱだけでもと、なんとかはっぱにヘラをのばす。
ブラジルではジュースでも食べ物でも入れ物いっぱいに入れてくれて、サービス精神が旺盛なのだ。しかし今はそれがうらめしくもある。なんとかはっぱを食べるのだけど凄い汗だ。それでも頑張るケド鼻水も出てくる。寄食で有名な喫茶マウンテンにチャレンジした自分だけど、コレは全然別物だ。オシャレでかわいらしい店構えからは想像もつかない一撃だ。気合を入れてなんとか葉っぱも完食し、ドロドロとスープはほぼ食えなかった。恐るべしブラジル。こんなところに伏兵が潜んでいようとは。
なんとか口直しをしたくて露店でカシューナッツとクッキーを買った。水ではごまかせなかったけど、砂糖たっぷりのクッキーでだいぶやわらいだ。とても味?が濃かったので、水があっというまに1ℓ近くなくなってしまった。。。